
法定相続人は、遺産に対する自分の相続分を他人に売却したり、贈与したりすることが可能です。
これを相続分の譲渡といいます。
相続分譲渡が必要になるのは、次のような場合です。
例えば、母親1名、子供5名で遺産分割協議をするとします。
ほとんどの相続人は母親が不動産を取得することに同意しているものの、子供1名が反対しているという場合、法定相続で計算すると母親が2分の1、5名の子供がそれぞれ10分の1を相続するのが原則です。
このとき、反対している子供1名を除く4名の子供が母親に相続分譲渡を行うと、不動産についての母親の持分は10分の9になります。
このように、相続分譲渡は、遺産分割協議がまとまらない場合に、遺産分割をしないで相続分を変更するための方法として利用されます。
相続財産には、借金や滞納税金等のマイナス財産(相続債務)も含まれます。
相続財産に借金等が含まれている場合、相続人がこの借金を相続し、支払っていかなくてはなりません。
ここで、Aという相続人が、自分の相続分をXという人に譲渡した場合、相続債務を支払う義務を負うのはAなのかXなのか、それともAもXも両方支払う義務を負うのか、という点が問題になります。
この点は考え方が分かれており、裁判所の統一見解も示されておりませんので、債務が存在する場合の相続分譲渡には注意が必要です。
Bという相続人が、自分の相続分をYという人に譲渡した場合、遺産分割協議に参加するのはBなのかYなのか、という問題があります。
この点については、相続分の譲受人であるYが遺産分割協議に参加すべきであると考えられています。
ただし、Bが遺産分割協議に参加すべきであると判断している裁判例もありますので、この点にも注意が必要です。
相続税は、各相続人が取得する相続財産によって課される税額が変わってきます。
したがって、相続分の譲渡があり、相続人が取得する相続財産の額が変わってきた場合、相続税の額にも影響を与えます。
また、相続税だけではなく、譲渡所得税、贈与税等の問題が発生する可能性があります。
この点は税理士や税務署に確認しなければなりません。
相続分譲渡は、相続人でない人(=第三者)に対して行うこともできます。
そうすると、全く面識のない第三者が遺産分割協議に入ってくることになりますので、他の相続人にとっては、あまり好ましいものではありません。
このため、相続人は、他の相続人が第三者に相続分を譲渡した場合、対価を支払って相続分を取り戻すことができます。
これを相続分の取戻しといいます。
ここで、相続分の譲渡に関するポイントを整理しましょう!!
前述のとおり、相続分の譲渡には、法律面や税務面での問題があり、最高裁判所の判例がないため、取扱いも確定していません。
相続分の譲渡を利用する際は事前の検討が必要になりますので、まず法律の専門家である司法書士や行政書士にご相談いただいたほうが安心です。
当事務所では初回面接相談を無料で承っておりますので、お気軽にご利用ください。
専門の司法書士・行政書士が対応させていただきます。

